・咳喘息とは

・咳喘息の原因・メカニズム

・咳喘息を治していくには

・咳喘息に似ている症状

咳喘息の発症には、気道、神経、筋肉、血管の複雑な相互作用が関与しています。
特に、気道粘膜の炎症・過敏性、迷走神経の過剰興奮、平滑筋の収縮が主要な要因です。

 

気道の構造と炎症の影響

咳喘息では、気道粘膜の炎症が持続し、気道が過敏になっています。これにより、通常では反応しない軽微な刺激（ホコリ、冷気、アレルゲンなど）にも過剰に反応し、咳が誘発されます。

① 気道の構造

• 上気道（鼻腔、咽頭、喉頭）
  • 空気の加湿と異物の除去を行う。咽頭や喉頭の粘膜が敏感になり、咳反射が誘発されやすくなる。
• 下気道（気管、気管支、細気管支）
  • 空気の通り道であり、気管支壁には**杯細胞（Goblet cells）**が存在し、粘液を分泌して異物の侵入を防ぐ。
  • **平滑筋（Smooth muscle）**が気道周囲を取り囲み、必要に応じて収縮・拡張することで気流を調整する。

② 気道炎症と過敏性の亢進

• 慢性的な炎症により、気道の粘膜が肥厚・浮腫を起こす。
• 杯細胞の過剰な粘液分泌により、気道が狭窄しやすくなる。
• 気管支平滑筋の収縮が過剰になり、咳反射が起こりやすくなる。
• 気道上皮の障害により、神経終末が露出し、刺激に対して過剰に反応する。

 

 

 

2. 神経系と咳反射の過敏性

咳喘息のメカニズムには**迷走神経（Vagus nerve）**が大きく関与しています。迷走神経は気道の粘膜に広く分布し、気道への刺激を脳へ伝える役割を持ちます。

① 咳反射の経路

1. 刺激受容（気道の粘膜にある感覚受容器が刺激を感知）

   • 機械受容器（Mechanoreceptors）：ホコリや異物による刺激を検知。
   • 化学受容器（Chemoreceptors）：炎症物質やpH変化を感知。
   • C線維受容器（C-fiber receptors）：ヒスタミンやカプサイシンなどの刺激物に反応。

2. 求心性神経の伝達

   • 迷走神経が刺激を脳幹（延髄）に伝える。

3. 咳の発生（咳反射の実行）

   • 延髄の咳中枢から、**反回神経（迷走神経の分枝）や横隔神経（Phrenic nerve）**を介して、呼吸筋に指令を出す。

② 迷走神経の過剰興奮

• 交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、副交感神経（迷走神経）が過剰に活性化し、気管支平滑筋の収縮が強くなる。
• 特に夜間や早朝に症状が悪化するのは、自律神経のリズムによるもの。

 

 

3. 平滑筋の収縮と気道狭窄

咳喘息では、気道の**平滑筋（Smooth muscle）**が過敏になり、わずかな刺激でも収縮しやすくなります。これにより、気道が狭くなり、咳の発作が誘発されます。

① 気管支平滑筋の解剖

• 気管支壁の3層構造
  • 内層：粘膜（上皮細胞、杯細胞）
  • 中層：平滑筋（自律神経によって制御される）
  • 外層：結合組織（血管や神経を含む）

② 収縮のメカニズム

• 迷走神経の副交感神経刺激が強くなると、**アセチルコリン（ACh）**が放出され、気管支平滑筋が収縮する。
• 一方、交感神経が活性化すると、β2アドレナリン受容体が刺激され、平滑筋は弛緩する。
• 咳喘息では、副交感神経が過剰に働き、気管支の収縮が続くため、気道が狭くなり咳が持続する。

 

 

4. 血管の関与と炎症の悪循環

• 気道粘膜の炎症により、毛細血管が拡張し、血漿成分が漏れ出ることで、さらに浮腫が発生し、気道が狭くなる。
• ヒスタミンやプロスタグランジンE2（PGE2）の放出により、神経終末が刺激され、咳が出やすくなる。

気道の構造と炎症の影響

咳喘息では、気道粘膜の炎症が持続し、気道が過敏になっています。これにより、通常では反応しない**軽微な刺激（ホコリ、冷気、アレルゲンなど）**にも過剰に反応し、咳が誘発されます。

① 気道の構造

• 上気道（鼻腔、咽頭、喉頭）
  • 空気の加湿と異物の除去を行う。咽頭や喉頭の粘膜が敏感になり、咳反射が誘発されやすくなる。
• 下気道（気管、気管支、細気管支）
  • 空気の通り道であり、気管支壁には**杯細胞（Goblet cells）**が存在し、粘液を分泌して異物の侵入を防ぐ。
  • **平滑筋（Smooth muscle）**が気道周囲を取り囲み、必要に応じて収縮・拡張することで気流を調整する。

② 気道炎症と過敏性の亢進

• 慢性的な炎症により、気道の粘膜が肥厚・浮腫を起こす。
• 杯細胞の過剰な粘液分泌により、気道が狭窄しやすくなる。
• 気管支平滑筋の収縮が過剰になり、咳反射が起こりやすくなる。
• 気道上皮の障害により、神経終末が露出し、刺激に対して過剰に反応する。

 

2. 神経系と咳反射の過敏性

咳喘息のメカニズムには**迷走神経（Vagus nerve）**が大きく関与しています。迷走神経は気道の粘膜に広く分布し、気道への刺激を脳へ伝える役割を持ちます。

① 咳反射の経路

1. 刺激受容（気道の粘膜にある感覚受容器が刺激を感知）

   • 機械受容器（Mechanoreceptors）：ホコリや異物による刺激を検知。
   • 化学受容器（Chemoreceptors）：炎症物質やpH変化を感知。
   • C線維受容器（C-fiber receptors）：ヒスタミンやカプサイシンなどの刺激物に反応。

2. 求心性神経の伝達

   • 迷走神経が刺激を脳幹（延髄）に伝える。

3. 咳の発生（咳反射の実行）

   • 延髄の咳中枢から、**反回神経（迷走神経の分枝）や横隔神経（Phrenic nerve）**を介して、呼吸筋に指令を出す。

② 迷走神経の過剰興奮

• 交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、副交感神経（迷走神経）が過剰に活性化し、気管支平滑筋の収縮が強くなる。
• 特に夜間や早朝に症状が悪化するのは、自律神経のリズムによるもの。

 

3. 平滑筋の収縮と気道狭窄

咳喘息では、気道の**平滑筋（Smooth muscle）**が過敏になり、わずかな刺激でも収縮しやすくなります。これにより、気道が狭くなり、咳の発作が誘発されます。

① 気管支平滑筋の解剖

• 気管支壁の3層構造
  • 内層：粘膜（上皮細胞、杯細胞）
  • 中層：平滑筋（自律神経によって制御される）
  • 外層：結合組織（血管や神経を含む）

② 収縮のメカニズム

• 迷走神経の副交感神経刺激が強くなると、**アセチルコリン（ACh）**が放出され、気管支平滑筋が収縮する。
• 一方、交感神経が活性化すると、β2アドレナリン受容体が刺激され、平滑筋は弛緩する。
• 咳喘息では、副交感神経が過剰に働き、気管支の収縮が続くため、気道が狭くなり咳が持続する。

 

4. 血管の関与と炎症の悪循環

• 気道粘膜の炎症により、毛細血管が拡張し、血漿成分が漏れ出ることで、さらに浮腫が発生し、気道が狭くなる。
• ヒスタミンやプロスタグランジンE2（PGE2）の放出により、神経終末が刺激され、咳が出やすくなる。

1. 環境の改善

• アレルゲン対策
  • 室内の掃除をこまめに行い、ダニやハウスダストの除去を徹底。
  • 空気清浄機を活用し、ホコリや花粉を減らす。
• 湿度管理
  • 乾燥を防ぐため、室内の湿度を50～60％に保つ。

 

2. 薬物療法（病院での治療）

• 吸入ステロイド（フルタイド、パルミコート）
  • 気道の炎症を抑え、過敏性を改善。
• β2刺激薬（メプチン、サルタノール）
  • 気管支を拡張し、咳を鎮める。
• 抗アレルギー薬（アレグラ、ザイザル）
  • アレルギー症状を抑え、気道の炎症を軽減。

 

3. 鍼灸治療

鍼灸は、自律神経を整え、気管支の過敏性を抑える効果があります。

治療する経穴（ツボ）

• 天突（てんとつ）
  • 気道を開き、咳を鎮める。
• 尺沢（しゃくたく）
  • 肺の機能を改善し、呼吸を深くする。
• 合谷（ごうこく）
  • ストレスを緩和し、自律神経を安定させる。

治療のメカニズム

• 鍼刺激による迷走神経の調整
  • 交感神経と副交感神経のバランスを整え、気管支の収縮を防ぐ。
• 血流改善
  • 気管支周辺の血流を良くし、炎症を軽減する。
• エンドルフィンの分泌促進
  • 鎮痛・抗炎症作用があり、咳を抑える。

 

4. 生活習慣の改善

• 水分補給
  • 粘膜の乾燥を防ぐために、こまめに水を飲む。
• 睡眠の質を向上
  • 副交感神経を優位にすることで、夜間の咳を軽減。

咳喘息は、早期に適切な治療を行えば数週間～数カ月で改善します。ただし、長期間放置すると気管支喘息へ移行する可能性があるため注意が必要です。

改善の指標

1. 咳の頻度が減る
2. 夜間の咳が軽減する
3. 吸入ステロイドの使用頻度が減る
4. 風邪を引いてもすぐに咳が悪化しなくなる

1, 気管支喘息（Bronchial Asthma）

咳喘息との違い

• 喘鳴（ゼーゼー、ヒューヒュー音）がある。
• 発作的に気管支が狭窄し、呼吸困難を伴う。
• 吸入ステロイドで炎症が抑えられるが、発作時は気管支拡張薬が必須。
• アレルギー（ダニ、花粉、動物の毛）による影響が強い。

主な症状

• 発作的に息苦しくなり、息を吐くのが苦しい。
• 夜間・早朝に悪化。
• 運動や冷気、アレルゲンで誘発されやすい。
• β2刺激薬（気管支拡張薬）に強く反応。

病態の違い

• 咳喘息は「咳」が主症状だが、気管支喘息は「気管支の狭窄」による呼吸困難が主症状。
• 気管支喘息では、炎症による気道の浮腫や粘液の分泌過多がみられる。

 

2. アトピー咳嗽（Atopic Cough）

咳喘息との違い

• 咳はあるが、気管支の狭窄や喘鳴はない。
• 抗ヒスタミン薬が有効だが、気管支拡張薬は無効。
• 咳の原因がアレルギー（ダニ、ハウスダスト、花粉）によることが多い。
• アレルギー性鼻炎を合併しやすい。

主な症状

• 乾いた咳が長期間続く（特に昼間）。
• 気道の過敏性が高いが、喘息のような気管支の収縮はない。
• β2刺激薬（気管支拡張薬）に反応しない。
• 抗ヒスタミン薬で咳が軽減する。

病態の違い

• 咳喘息と同じく気道の過敏性が高いが、炎症の程度が低く、気管支の収縮が起こらない。
• 迷走神経の過剰反応よりも、アレルギー反応が主な原因。

 

3. 逆流性食道炎（Gastroesophageal Reflux Disease, GERD）

咳喘息との違い

• 食後や就寝時に咳が出やすい。
• 胸やけや胃酸の逆流感を伴うことが多い。
• 胃酸抑制薬（PPI）が有効。
• 気管支拡張薬は無効。

主な症状

• 乾いた咳が続く。
• 食後や横になると咳が悪化。
• 胸やけや胃もたれ、喉の違和感がある。
• 酸っぱいゲップや喉のヒリヒリ感を伴う。

病態の違い

• 咳喘息は気道の炎症が原因だが、逆流性食道炎は胃酸が食道を刺激し、咽頭反射を引き起こすことで咳が生じる。
• 咳喘息は気管支拡張薬が有効だが、逆流性食道炎では胃酸抑制薬（PPI）が有効。

 

4. 後鼻漏（Postnasal Drip, PND）

咳喘息との違い

• 鼻水が喉に垂れ込み、刺激で咳が出る。
• 鼻づまりや副鼻腔炎を合併しやすい。
• 痰が絡むような咳（湿った咳）が多い。
• 抗ヒスタミン薬や去痰薬が有効。

主な症状

• 鼻水が喉の奥に垂れ込んで咳が出る。
• 鼻づまりやくしゃみを伴う。
• 痰が絡むような咳。
• 横になると悪化しやすい。

病態の違い

• 咳喘息は気道の過敏性が原因であるが、後鼻漏は鼻水が気道に流れ込み、それを排出しようとする咳反射が原因。
• 咳喘息では鼻水がほとんどないが、後鼻漏では鼻水や鼻づまりを伴う。

 

5. COPD（慢性閉塞性肺疾患, Chronic Obstructive Pulmonary Disease）

咳喘息との違い

• 喫煙歴がある人に多い。
• 咳とともに痰が多く出る。
• 進行すると息切れが悪化し、呼吸困難を伴う。
• 長年にわたり悪化する（急性発作もあり）。

主な症状

• 慢性的な咳と痰の増加。
• 進行すると安静時でも息苦しくなる。
• 気管支拡張薬の効果は限定的。
• 肺の弾力性が低下し、呼吸機能が悪化。

病態の違い

• 咳喘息は気道の過敏性が原因だが、COPDは肺の構造的破壊と気道閉塞が原因。
• 咳喘息は可逆的な疾患だが、COPDは不可逆的で進行性の疾患。